予防治療

予防治療とは?

「痛くなる前に通う」新しい歯科のかたち

これまで多くの人が「歯が痛くなったら歯医者に行く」という行動パターンを当たり前のようにとってきました。しかし、痛みが出たときには、むし歯や歯周病がすでにかなり進行しているケースが少なくありません。一度削った歯は元の状態に戻らず、年齢とともに治療の選択肢も限られてきます。

そこで今注目されているのが、「健康な状態を維持するために通う」という“予防歯科”の考え方です。車でいうところの「定期点検(車検)」のように、歯も定期的にメンテナンスすることでトラブルを未然に防ぎ、生涯にわたり自分の歯を守ることができます。

実際に、欧米の予防歯科先進国では、子どもから高齢者までの約80〜90%が定期的に予防ケアを受けており、80歳で平均20本以上の天然歯を保っているというデータもあります。日本でも「治すため」から「守るため」へと、歯科医院との付き合い方が変わり始めています。

むし歯・歯周病が進行する仕組みと予防の基本

● プラーク(歯垢)の形成

お口の中の細菌は、食べ物の糖分を利用してネバネバとした「バイオフィルム(プラーク)」をつくります。これは歯と歯ぐきの隙間などに付着しやすく、通常の歯みがきでは完全に除去するのが難しい厄介な存在です。

● 脱灰と再石灰化のバランス

プラーク内の細菌が出す酸によって歯の表面が少しずつ溶かされる「脱灰」と、唾液に含まれるカルシウムやリンによって修復される「再石灰化」は常に繰り返されています。しかし、脱灰が再石灰化を上回る状態が続くと、歯は徐々に内部まで侵されてむし歯になります。

● 歯周病の炎症サイクル

プラークが歯周ポケット内にたまると、歯周病菌が繁殖し、歯ぐきの炎症を引き起こします。この炎症が長引くことで歯を支える骨や組織が破壊され、やがて歯がぐらついたり、最悪の場合には抜け落ちることもあります。

予防歯科が効果を発揮する3つのアプローチ

機械的除去(PMTC・スケーリング)
専用の器具でプラークや歯石を徹底的に除去し、細菌の住みかをリセットします。

●化学的サポート(フッ素・CPP-ACP)
再石灰化を促す薬剤で歯のエナメル質を強化し、むし歯になりにくい歯質にします。

●生活習慣管理(糖質制限・pHコントロール)
食習慣や口腔内環境を見直すことで、むし歯や歯周病のリスクそのものを減らします。

これらを組み合わせることで、脱灰と炎症の連鎖を断ち切り、健康な口腔内環境を長期的に維持することができます。

定期的なケアで未来の歯を守る理由

早期発見・最小限の治療でダメージを抑える

定期検診では、まだ自覚症状が出ていない初期むし歯や歯周病の兆候を見つけることができます。ほんの数ミリの処置で済む段階で対応できれば、神経の治療や抜歯といった大がかりな処置を避けることができます。

● 天然歯の寿命を延ばす

一度削った歯は元に戻らず、ダメージが蓄積するごとに再治療のリスクが高まります。定期的なケアで健康な歯を維持することで、“削って補う”の悪循環を断ち切り、自分の歯を長く残すことができます。

● 全身の健康を守る

お口の中の慢性的な炎症は、血管を通じて全身に広がることがあります。歯周病は動脈硬化や心疾患、糖尿病、誤嚥性肺炎などとも関係があるとされています。予防歯科は、口腔だけでなく全身の健康維持にも貢献する重要な医療です。

● 医療費・時間の節約に

重度のむし歯や歯周病の治療には時間も費用もかかります。例えば、インプラントや根管治療などでは数十万円以上かかるケースもあります。一方で、定期的なメンテナンスにかかる費用は比較的少なく、長期的に見れば予防の方が経済的です。

● 通院の心理的ストレスを軽減

「痛くなったら行く」ではなく、「気軽にケアに行く」ことで、歯科医院への苦手意識も軽くなります。痛みのないクリーニングを定期的に受けることで、歯科通院をリフレッシュの場として前向きに捉えることができます

従来の治療モデルが抱えるリスク

痛みが出てからでは削る量が増える仕組み

従来の「痛みが出てから歯科医院へ行く」モデルでは、虫歯や歯周病が自覚症状として現れるまで放置されるため、病変の進行度合いが深刻化しています。初期の虫歯はエナメル質がわずかに溶けるだけで、まだ知覚過敏や痛みはありません。しかし痛みを感じる段階、すなわち象牙質や歯髄近くまで虫歯が進んでしまうと、治療の際に削る歯質の体積が大きくなります。

 

●小さな陥没から深い龕窩へ
初期は歯の表面にホワイトスポットや薄い茶色の変色しか見られないものの、痛みを伴う段階になるとかなり深い穴が開いています。

 

●歯髄への影響
象牙質を超えると象牙細管を通じて神経に刺激が伝わり、強い痛みを伴います。この状態では麻酔下でも広範囲にわたる歯質切削と神経(歯髄)の除去が必要となり、歯の内部構造が大きく失われます。

●治療回数の増大

軽度の虫歯は1回の充填処置で済む場合が多いのに対し、進行した虫歯治療では根管(神経)治療と被せ物作製を含め、複数回の来院と複数種の技工物(コア・クラウンなど)が必要になり、時間的・費用的コストは飛躍的に増加します。

再発リスクと歯の寿命の関係

一度治療しても再発を繰り返すと、歯の寿命は確実に縮んでいきます。再発リスクは「治療時に削った歯質」「補綴物(詰め物・被せ物)との適合性」「細菌コントロールの継続性」という3つの要素に左右されます。

 

●削る量の累積効果
1回目の治療で小さく削ったとしても、再発時にはその周囲をさらに削らざるを得ず、歯質はどんどん薄く脆くなります。

●補綴物の境界からの感染
銀歯やコンポジットレジンは経年劣化し、適合精度が低下することで、境界から細菌が侵入しやすくなります。隙間から浸入した細菌が再び虫歯を引き起こすため、補綴物は最長5~10年程度で作り替える必要があるといわれます。

●歯の破折・抜歯リスク
歯質の喪失があるほど、噛む力やくいしばりの圧力に耐えきれず、歯根破折を起こすリスクが高まります。破折が深刻な場合、抜歯を選択せざるを得ないケースも増え、結果として天然歯の寿命を大きく縮めてしまいます。

大がかりな治療を防ぐために今できること

深刻なトラブルを招く前に、誰でもすぐに取り組める“予防アクション”を明日からはじめましょう。

  1. 3ヵ月ごとのプロフェッショナルケア
    歯科衛生士によるPMTC(プロフェッショナル・トゥース・クリーニング)と歯周ポケット検査を3ヵ月に1回ペースで継続すると、プラークのバイオフィルム化を防ぎ、細菌叢を「若い状態」にリセットできます。

  2. セルフケアの質を上げる
    ① 歯ブラシは30度の角度で当て、歯と歯ぐきの境目を狙い撃ちにするバス法で磨く。
    ② デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間を清掃し、歯ブラシだけでは落とせないプラークを除去。
    ③ 毎食後10分以内の歯磨き習慣を徹底し、脱灰と再石灰化のバランスを保つ。

  3. フッ素とリカルデントの活用
    歯科医院での高濃度フッ素塗布だけでなく、ご家庭ではフッ素入り歯磨き粉やリカルデントガムを併用して、歯の再石灰化を促進し、エナメル質を強化。

リスク因子への対策
糖分摂取の回数や量を見直し、間食は小まめではなく食事のタイミングでまとめる。禁煙・口呼吸対策・ナイトガード装着など、環境的・習慣的要因を一つずつ軽減。

虫歯・歯周病のメカニズムを知る

プラーク(歯垢)とバイオフィルムの正体

お口の中の汚れは「プラーク(歯垢)」と呼ばれ、粘着性のある細菌のかたまりです。プラークは単なる汚れではなく、およそ700種類ともいわれる細菌が無数に集まって形成されます。歯に付着したプラークは、唾液中のカルシウムやリン酸と結合して硬くなり、「歯石」へと変化します。さらに厄介なのは、プラークが成熟すると細菌同士がレゴブロックのように連結し、外部からの抗菌剤や歯磨き剤をはじく「バイオフィルム」という強固な膜状構造をつくる点です。

●集合知を持つ細菌群
バイオフィルム内では細菌間のコミュニケーション(クオラムセンシング)が活性化し、毒素産生のタイミングや総量を協調します。つまり、細菌単体よりもはるかに強力な攻撃力を備えることになります。

●自己防衛機構としてのバリア
バイオフィルムは洗口剤や唾液の抗菌成分を物理的にブロックし、内部の細菌を外部からの攻撃から守ります。これが、セルフケアだけでは落としにくい理由です。

●病原性の高い菌の温床
虫歯菌(ミュータンス連鎖球菌)や歯周病菌(ポルフィロモナス・ジンジバリスなど)は成熟バイオフィルム内で最も活性化し、酸や毒素を大量に産生します。放置すると短期間で歯の硬組織や歯周組織が侵されるため、早めの介入が重要です。

酸や毒素で歯が溶ける流れ

虫歯と歯周病は別の病気ですが、どちらも細菌が出す「産生物」で組織を破壊する共通のメカニズムを持っています。ここでは虫歯に重点を置き、そのプロセスを解説します。

 

  1. ①糖分摂取から酸産生への転換
    食事や間食で糖分(ショ糖、ブドウ糖、果糖など)を摂取すると、プラーク内の虫歯菌がこれをエサにして酸を産生します。

  2. ②エナメル質の脱灰
    産生された酸が歯の表面(エナメル質)に触れると、カルシウムやリン酸が溶け出し、ミネラル量が低下します。この状態を「脱灰」といいます。歯面に白濁(ホワイトスポット)が現れたら、すでに脱灰が進行しているサインです。

  3. ③再石灰化のバランス
    唾液中のカルシウム・リン酸・フッ素は再石灰化を促進し、脱灰を修復しようと働きます。しかし、糖分摂取の頻度が多いと酸に晒される時間が長く、再石灰化が追いつかず脱灰が進行してしまいます。

  4. ④象牙質進展と知覚過敏
    エナメル質を突破した酸は内層の象牙質に到達し、より柔らかい象牙細管を溶かします。これが神経に近づくと、冷たいものがしみるなどの知覚過敏症状が現れます。

⑤歯髄感染と激痛化
さらに進行すると酸だけでなく細菌そのものが歯髄(神経組織)に侵入し、強い炎症を引き起こします。この段階ではズキズキと耐えがたい痛みを伴い、根管(歯髄)治療が必要になります。

歯周ポケット拡大の進行ステージ

歯周病は歯を支える周囲組織が細菌の毒素で破壊され、進行すると歯周ポケットが深くなっていきます。進行ステージごとに特徴を押さえましょう。

  • ステージⅠ(軽度歯肉炎)
    歯と歯ぐきの境目にプラークが溜まり、歯ぐきが赤く腫れ、ブラッシング時に出血する段階です。ポケットの深さは2~3mm、歯槽骨の吸収はごくわずか。痛みはほとんどなく、定期クリーニングとブラッシング指導で十分にコントロール可能です。

  • ステージⅡ(中等度歯周炎)
    炎症が深部に拡大し、ポケットが4~6mmに深くなります。歯槽骨の吸収が25%以下の範囲で見られ、口臭や歯ぐきからの膿も見受けられます。通常のスケーリング・ルートプレーニング(歯石および感染源の除去)に加え、部位に応じた外科的アプローチが検討されることもあります。

  • ステージⅢ(重度歯周炎)
    ポケットは6mm以上に達し、歯槽骨吸収は50%以上。歯がぐらつきはじめ、咬合時に違和感や不安定感を覚えます。根分岐部病変(奥歯の歯根が分かれる部位の病変)も進行し、外科的歯周治療や矯正的挺出などの複合的アプローチが必要になるケースが多くなります。

ステージⅣ(最終段階)
全体の歯槽骨吸収が高度に進み、歯の動揺度が増大。咀嚼機能が著しく低下し、歯を保存するリスクが高い場合は抜歯を検討することになります。なお、この段階でも放置せずにSPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)によって進行を抑制し、歯を維持できることがあります。

全身疾患との深い関連性

歯周病菌がもたらす糖尿病悪化リスク

歯周病は口腔内にとどまらず、全身の慢性炎症を引き起こすリスクファクターとして注目されています。特に糖尿病患者さんとの「双方向の関係」はよく知られており、歯周病の存在が血糖コントロールを悪化させる一因となります。歯周ポケットから放出される炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)は全身循環に乗り、インスリン抵抗性を高めることで血糖値の上昇を促します。一方で、高血糖状態では白血球の機能低下や血流障害が起こり、歯周病菌への抵抗力が落ちるため、歯周病の進行がさらに加速します。この負のスパイラルを断ち切るためには、糖尿病の管理と同時に、歯周病の早期発見・治療を行うことが不可欠です。

誤嚥性肺炎や心血管疾患への影響

歯周病菌は誤嚥性肺炎の原因菌としても知られており、口腔内の歯周ポケットに潜む細菌が唾液や食物とともに気道へ流れ込むことで肺組織で炎症を引き起こします。特に高齢者や嚥下機能が低下した方は、誤嚥性肺炎の重症化リスクが高まるため、継続的な口腔ケアが命を守る第一歩です。さらに、歯周病菌やその炎症性産物は血管内皮にもダメージを与え、動脈硬化を進行させます。結果として心筋梗塞や脳梗塞などの心血管イベントが増加することが確認されており、歯周病のコントロールは循環器系疾患の二次予防にもつながります。

妊産婦・高齢者に注意すべきポイント

妊娠中はホルモンバランスの変化により歯肉の血流が増加し、歯周病を発症しやすい環境になります。歯周病が重症化すると、炎症性サイトカインが胎盤を刺激して早産や低体重児出産のリスクが上昇することが報告されており、「マイナス1歳からの口腔ケア」が提唱されています。産前・産後を含め、フッ素塗布やPMTCによる徹底的なプラークコントロールを行いましょう。
一方、高齢者は薬剤の副作用で唾液分泌が減少し、ドライマウスを合併するケースが少なくありません。唾液量の低下は口腔内の自浄作用を弱め、むし歯や歯周病のリスクを飛躍的に高めます。また、手指の運動機能低下で歯磨きが不十分になりがちです。高齢者を支える家族や介護者も含めたチームアプローチで、定期的なメンテナンスとブラッシング指導を継続しましょう。

自宅でできるセルフケアの基本

正しい歯ブラシ&歯間清掃のコツ

セルフケアの土台となるのが「磨き残しをゼロに近づける」歯ブラシテクニックです。歯ブラシはやわらかめのものを選び、毛先を歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、細かく小刻みに前後左右に動かしましょう。力を入れすぎると歯ぐきが傷つき、逆にプラークを押し込んでしまう恐れがありますので、軽いタッチで20~30回ほど振動させるイメージが理想です。

歯ブラシだけでは届かない歯間部や奥歯の溝には、デンタルフロスや歯間ブラシを併用しましょう。歯間ブラシはサイズ選びが重要で、歯肉を痛めない適正サイズを歯科医院で確認するのがおすすめです。フロスは歯の側面を包み込むように「C字フォルム」にし、根元から先端まで上下にしごくように動かしてプラークをかき出します。

毎日のブラッシングに加え、1日1回は必ず歯間清掃を行うことで汚れを徹底的にリセットし、セルフケアだけでは落としきれないバイオフィルム形成を防ぎます。

フッ素や洗口剤を使った化学的予防

歯質強化と抗菌作用を併せ持つフッ素は、セルフケアにおける化学的予防の要です。歯磨き剤は必ずフッ素配合のものを選び、就寝前の歯磨き時には歯面にしっかりとペーストを行き渡らせて1分以上ブラッシングし、そのままうがいを最低限(10~15ml程度)に抑えてフッ素を残留させましょう。

加えて、洗口剤を使うと歯磨きでは落としきれない細菌数を減少でき、口腔内の細菌叢(フローラ)を予防的にコントロールできます。洗口剤はアルコールフリータイプを選ぶと口腔内が乾燥しにくく、細菌の増殖を抑えつつマイルドにケアできます。

食習慣リセットで口腔内pHを安定化

虫歯・歯周病リスクを高める最大の原因は「酸性に傾く口腔内pH」です。食後30分から1時間は歯面の脱灰が進むため、間食は最小限にし、食事の回数を1日3回にまとめることで酸性ストレスの回数を減らします。

糖分を多く含む飲食物は細菌のエサとなって酸を産生するため、摂取後は必ず歯磨きまたはうがいで糖を洗い流しましょう。ガムを噛むと唾液分泌が促され、再石灰化を助ける成分が歯面に再沈着しやすくなります。食後のキシリトールガムおすすめです。

また、お茶(緑茶や紅茶)に含まれるカテキンには抗菌作用があり、食後の口腔内洗浄として手軽に取り入れられます。水分は常温の水やお茶を選び、常に口腔内pHを7前後の中性にキープできるよう習慣化していきましょう。

プロに任せるプロフェッショナルケア

PMTC(プロクリーニング)のステップ

PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)は、歯科衛生士による専門的なクリーニングで、毎日のブラッシングだけでは除去しきれないバイオフィルムや着色汚れを徹底的にリセットします。

  1. 初期検査・染め出し
    まずはお口の中を拝見し、プラーク染色液で磨き残し部位を可視化。これによりセルフケアの改善ポイントが明確になります。

  2. 超音波スケーラーによる歯石除去
    超音波振動を利用して歯面・歯周ポケット内に付着した硬い歯石やプラークを効率的に除去します。

  3. ラバーカップ+専用ペーストでポリッシュ
    小型のラバーカップに低研磨性の専用ペーストを装着し、歯の表面を滑らかに磨き上げます。歯面がツルツルになることで、プラークの再付着を抑制できます。

  4. フッ化物塗布
    仕上げに高濃度フッ素を歯面に塗布し、再石灰化を促進。酸に強い歯質をつくり、プロフェッショナルケアの効果を長持ちさせます。

スケーリング&ルートプレーニングで歯根滑沢化

歯周病予防・改善には、歯根面にこびり付いた歯石や毒素を取り除き、歯根を滑沢化(ツルツルに)する「ルートプレーニング」が不可欠です。

  • スケーリング
    歯肉縁上・縁下に付着した歯石を、専用のスケーラーや超音波器具で丁寧に除去します。

  • ルートプレーニング
    歯根面の粗い汚染層を削り取り、歯根を滑らかに整えます。表面がツルツルになることでプラークが付着しにくくなり、炎症の再発を抑えます。

  • 歯周ポケットの深さ管理
    施術後は歯周ポケットの深さが減少し、日々のブラッシングで届く範囲内に改善。歯周組織の健康を維持しやすくなります。

 

シーラント+高濃度フッ素×CPP-ACP併用

特に子どもの奥歯や溝の深い永久歯では、シーラント+高濃度フッ素+CPP-ACP(カルシウム・リン酸アミノ酸複合体)で多層的な守りを構築します。

  • シーラント
    奥歯の複雑な溝をレジン(樹脂)でコーティングし、プラークや食べかすの侵入をブロック。磨きにくい部位をカバーする物理的バリアです。

  • 高濃度フッ素塗布
    歯面をフッ素でコーティングし、耐酸性を高めると同時に再石灰化を強力サポート。初期虫歯の進行をストップし、エナメル質を強化します。

  • CPP-ACP塗布
    ミルク由来のCPP-ACPは、唾液中のカルシウムとリン酸を歯面に効率よく取り込ませる働きがあり、バイオフィルム内の歯質修復を促進。フッ素との併用で相乗効果を発揮します。

 

可視化で精密管理する予防診断

マイクロスコープで見逃さない初期変化

肉眼では確認しきれない歯のわずかな亀裂や初期の脱灰スポットも、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使えば最大20倍まで拡大して観察できます。歯面のわずかな凹凸や歯間のプラーク付着状態をリアルタイムでモニターに映し出しながら診査することで、初期虫歯・歯周病の兆候を逃しません。

  • 精密診断
    薄く白く濁った脱灰帯も早期発見でき、再石灰化を促すフッ素塗布などの予防処置を速やかにスタート。

     

  • 視覚的フィードバック
    ご自身の歯の“今”をモニターで確認いただくため、セルフケアへのモチベーションも高まります。

     

  • 小さな補修
    ひび割れや浅い溝の修復を最小限の治療で済ませ、健康な歯質をより長く守ります。

 

CT×位相差顕微鏡による三次元リスク評価

従来のレントゲンでは平面的な歯や骨の状態しかわかりませんが、歯科用CTを併用することで顎骨や歯根、神経の位置関係を立体的に把握できます。さらに位相差顕微鏡を用いることで、ご自分のプラーク中の細菌叢(フローラ)を顕微鏡下で観察し、細菌数や菌種バランスで「むし歯リスク」「歯周病リスク」を診断。

  • 高精度シミュレーション:CT画像上で口腔内全体の3Dモデルを構築し、再発リスクの高い箇所を可視化。

  • 細菌レベルの診断:位相差顕微鏡でリアルタイムに細菌の動きを観察し、口腔内の悪玉菌優位度を数値化。

  • オーダーメイド予防計画:3Dリスクマップと細菌解析を組み合わせ、一人ひとりに最適化された予防プログラムをご提案します。

 

歯周ポケットチャートで進行度を数値化

歯周ポケットの深さを1mm単位で計測し、チャート上に色や数字で記録する「ポケットチャート」は、歯周病のステージを見える化する有効ツールです。定期検診ごとにチャートを更新し「深さが減っているか」「悪化が止まっているか」を客観的に評価します。

  • 定量的評価:歯周ポケット深さの変化をグラフ化し、治療/メンテナンス効果を可視化。

  • 目標設定:すべてのポケットを3mm以内に保つ“健康基準”を設定し、達成度を数字でチェック。

  • 継続的フォロー:データに基づくフィードバックで、セルフケアやプロケアの改善点を具体的に共有します。

 

ライフステージ別ケア戦略

マイナス1歳から始める母子口腔管理

お子さまの口腔環境はお母さまのお腹の中の時点から影響を受けています。妊娠中はホルモンバランスの変化により歯周病リスクが高まるため、定期的な歯科検診で歯肉や歯周ポケットの状態をしっかりチェックすることが大切です。出産後はお母さまの口腔内細菌が赤ちゃんへと移行する可能性があるため、ブラッシング指導を受けながらプラークコントロールを徹底し、母子で健康な口内フローラを育てましょう。歯が生え始めたらガーゼ磨きから始め、フッ素配合ジェルの使用でエナメル質を強化。シーラント(歯の溝を樹脂で埋める処置)は小さな乳歯にも適応でき、むし歯予防に有効です。こうした「マイナス1歳からの予防」で、将来にわたってむし歯ゼロの土台を築きます。

成長期の歯列誘導とむし歯予防

乳歯から永久歯へと生え変わる小学校低学年から中学年は、歯並びや噛み合わせが大きく変化する時期です。このタイミングで歯列不正を放置すると、磨き残しが増えてむし歯や歯周病のリスクが跳ね上がります。まずは定期的に咬合チェックを受け、矯正専門医との連携で歯列誘導装置やマウスピースを活用。奥歯の咬合面にシーラントを行い、6歳臼歯や12歳臼歯の溝を埋めることでプラーク付着を抑え、フッ素塗布とCPP-ACP(牛乳由来ペプチド)塗布を併用して再石灰化を促進します。おやつの回数や時間帯を管理し、間食後のうがいや歯磨きを習慣化することで、むし歯の芽を日常生活のなかで摘み取り、永久歯が健やかに機能する環境を整えます。

シニア世代のメインテナンス戦略

加齢に伴い唾液分泌量が低下し、口腔内pHの中性維持や自浄作用が減少することで高齢者はむし歯・歯周病の進行が速くなりがちです。加えて、歯周ポケットが深いまま放置されると歯根周囲に細菌が侵入しやすくなり、歯を支える骨(歯槽骨)の吸収が加速して抜歯リスクが上ります。そこで、シニアには1~2ヶ月ごとに超音波スケーリング&ルートプレーニングで歯根面を滑沢化し、PMTCで着色とバイオフィルムを徹底除去。抗菌性のうがい薬やプロバイオティクス(善玉菌含有製品)を取り入れ、口腔フローラを善玉菌優位にコントロールします。さらに、就寝前の歯磨き時間をしっかり確保し、口腔乾燥を防ぐ保湿ジェルを併用。誤嚥性肺炎予防には、顎を上げた姿勢でのケアや高齢者向けのリハビリ的口腔体操を導入することで、口腔衛生を保ちながら全身の健康にもつなげます。こうしたシニア世代特有の「攻めと守り」の予防戦略で、80代、90代になっても自分の歯で食事を楽しめる人生を支援します。

川越ワイズ歯科・矯正歯科の予防プログラム

オーダーメイド予防プラン作成フロー

川越ワイズ歯科・矯正歯科では、まず初診時に行うカウンセリングと精密検査を組み合わせ、患者様ごとに異なるお口の状態を丁寧に把握します。デジタル口腔内スキャンや低線量歯科用CTで歯と顎骨の立体画像を取得し、位相差顕微鏡でプラーク中の細菌構成をリアルタイムに観察。これに加え、食生活や生活習慣についての詳しいヒアリングを行うことで、むし歯・歯周病リスクを総合的に評価します。検査結果を基に、「高リスク」「中リスク」「低リスク」の三段階で現状を可視化し、そのうえで患者様ご自身と話し合いながら最適な予防プランを立案。セルフケア指導、プロクリーニングの頻度、高濃度フッ素塗布やシーラントの適用など、まさに“私だけの”オーダーメイド予防プログラムをご提案します。

三ヶ月ごとの定期PMTC+再評価カウンセリング

プラン決定後は3か月ごとにPMTCプロクリーニングを実施。超音波スケーラーで歯肉縁下のプラーク・歯石を徹底除去し、ラバーカップと専用研磨ペーストで歯面を滑らかに仕上げます。さらに、高濃度フッ素ジェルとCPP–ACP(カルシウム・リンペプチド複合体)を併用することで、歯質の再石灰化を強力にサポート。施術後には必ず再評価カウンセリングを行い、歯周ポケットの深度を数値で比較するとともに、顕微鏡検査を通じて細菌叢の変化を確認。ご自宅でのセルフケア状況や生活習慣の変化に関しても情報を共有し、必要に応じてプランを柔軟に修正します。これにより、常に最適化された予防状態を長期的に維持できるのが当院の特徴です。

安心安全を守る先進設備と品質管理

患者様に安心して予防ケアを受けていただくため、当院では歯科用CTやマイクロスコープ、位相差顕微鏡といった最新設備を完備。口腔内の見えない初期変化も逃さずキャッチし、安全な処置を実現します。さらに、使用器具はすべてオートクレーブによる高圧蒸気滅菌後に個別包装し、感染リスクを徹底的に排除。デジタルカルテで検査結果や施術履歴を一元管理し、歯科医師・衛生士間で迅速かつ正確に情報共有が可能です。定期的に感染管理責任者が院内プロトコルを監査し、常に厚労省ガイドラインに準拠した衛生体制を維持しています。こうした万全の設備と運用体制により、川越エリアで最も信頼いただける“予防歯科のかかりつけ”として、患者様の将来の歯を守り続けます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 定期検診はどのくらいの頻度で受ければいいですか?

A1. 当院では、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療のために、3~6ヶ月ごとの定期検診をおすすめしています。

お口の状態やリスクに応じて、歯科衛生士が最適な間隔をご提案。

検診では歯面の汚れ除去、歯ぐきのチェック、噛み合わせの確認などを行い、必要に応じてレントゲン撮影で見えない部分まで詳しく診断します。

Q2. PMTC(プロフェッショナルクリーニング)とは何ですか?

A2. PMTCは、歯科衛生士が専用の機器とペーストを使って歯の表面のバイオフィルム(細菌のかたまり)を徹底的に除去する専門的クリーニングです。

家庭用の歯ブラシでは届きにくい歯と歯の間や歯周ポケット内の汚れもきれいに取り除き、着色やタバコのヤニ、歯石の付着を防ぎます。

1回の施術でツルツルの歯面を実感でき、再発リスクを大幅に低減します。

Q3. シーラント処置のメリットは何ですか?

A3. シーラントは、奥歯の溝(咬合面)に歯科用樹脂を流し込んでコーティングする処置です。

溝が深くて汚れがたまりやすい6歳臼歯などに有効で、虫歯予防効果は50%以上とも言われています。

処置は痛みもなく短時間で終わり、乳歯列期のお子様から成人まで適用可。

溝を埋めることで汚れの停滞を防ぎ、自宅ケアと併用すると予防効果がさらにアップします。

Q4. フッ素塗布は子どもだけのものですか?

A4. フッ素は歯質を強化し、初期むし歯の再石灰化を促進する働きがあるため、お子様はもちろん大人にも効果的です。

歯のエナメル質に直接フッ素を塗布すると、酸による溶解を抑え、虫歯菌の活動も弱めます。

特に歯ぎしりや酸蝕リスクのある方、口腔乾燥症の方はフッ素塗布でのリスクヘッジが有効です。

3〜6ヶ月ごとの定期塗布をおすすめします。

Q5. 自宅でできる予防ケアは何がありますか?

A5. 毎日のセルフケアで重要なのは、丁寧なブラッシング(朝晩2回・1回3分以上)と、デンタルフロスや歯間ブラシによる歯間清掃です。

加えて、甘い間食を控え、食後のキシリトールガム咀嚼で唾液分泌を促すと再石灰化が促進されます。

さらに、マウスウォッシュやフッ素配合ジェルの併用で歯面をコーティングし、自宅でもプロフェッショナルに近い予防効果が得られます。

Q6. 保険適用される予防メニューはありますか?

A6. 定期検診でのスケーリング(歯石除去)やブラッシング指導は健康保険適用内で受けられます。

一方、PMTC・シーラント・フッ素塗布は自費診療扱いとなりますが、予防効果の高さから多くの患者様にご好評をいただいています。

費用や回数プランについては、初診カウンセリング時に詳しくご案内しますので、お気軽にご相談ください。

Contact

川越市的場の「地域のかかりつけ医」として
スタッフ一同、心の通った会話と
適切な治療をご提供しています。

【 診療科目 】
予防治療・一般歯科・矯正歯科・親知らず抜歯
入れ歯・審美治療・インプラント治療